脊椎動物班


陸の哺乳類

ホンドタヌキ
Nyctereutes procyonoides viverrinus

階 級:ネコ目 イヌ亜目 イヌ科 タヌキ属
体 長:約50cm
採集地:東京都 大田区 田園調布

冬は毛が多く大きく見えて、夏は毛が少なく小さく見える。体は全体的に茶褐色で前胸部、目の周囲と鼻部が黒く、肩に帯状の暗色部分がある。雑食性であり人の生活圏においても家庭ゴミなどを餌資源として利用している。そのため都心部などでも生息が確認されている。


二ホンジカ
Cervus nippon

階 級:哺乳網 偶蹄目 シカ科 シカ属
体 長:約100~180㎝
採集地:長野県 諏訪市

4つの先端を持つ角があり、夏は茶色や茶褐色、赤褐色や黄褐色などに白斑が散在していて、冬には灰褐色に変わり白斑も消える。捕獲規制や狩猟者の高齢化などの影響で個体数が増えたが、食糧が足りないなどの理由で死ぬ個体数も増えた。


テン
Martes melampus

階 級:ネコ目 イヌ亜目 イタチ科 テン属
体 長:約50cm
採集地:三重県 伊勢市

夏はやや黒ずんだ黄褐色で顔は黒、冬は明るい黄褐色ないし黄色で顔は白となる。標本からは、全身を波立たせて素早い動きをするために細長い体型で四肢が短いことや、頭蓋骨が扁平で鋭い歯をしていることがわかる。


アブラコウモリ
Pipistrellus abramus

階 級:コウモリ目 コウモリ亜目 ヒナコウモリ科
体 長:約5㎝
採集地:東京都 大田区

毛はあまり密でなく、背面は灰色がかったオリーブ色で白色部が若干混じる。前足の骨を長く伸ばし、指と指、前足と後足、後足と後足の間に膜を発達させて翼をつくり、これによって空を自由に飛べるようになっている。


ホンドギツネ
Vulpes vulpes japonica

階 級:ネコ目 イヌ科 イヌ亜科
体 長:約65㎝
採集地:長野県 茅野市 国道141号線

イヌに似た体をしており、背面から側面は黄土色、顔の下側から、腹、太い尾の先端が白色。夜行性で、主に野ネズミなどの小動物を食べる。


ハクビシン
Paguma larvata

食肉目 ジャコウネコ科 ハクビシン属
体 長:約63㎝
採集地:不明

顔に特徴があり、おでこの部分から鼻にかけて1本の白線がある。尾は長く、胴体と同じくらいの長さ。ジャコウネコ科であり、見た目はタヌキに似ているがネコの仲間とされている。アライグマやタヌキと比べると大きめの動物。


アナグマ
Meles anakuma

階 級:食肉目 イタチ科 アナグマ属
体 長:約50㎝
採集地:不明

耳と頭が小さくて、前足の爪が長くて鋭く、短くて太く、尻尾が短い。背側が灰褐色や褐色などで、腹部と四肢は黒っぽく、口先から目、耳にかけて暗い縞があり、その間は白っぽい。夜行性で発達した嗅覚と聴覚を生かし、暗いところでも獲物を捕まえることができ、昼は巣穴に隠れている。


ハリネズミ
Hedgehog

階 級:食虫目 ハリネズミ科 ハリネズミ亜科
体 長:約17cm
採取地:静岡県 伊豆市

背中に針が生えていて、腹には柔らかい毛が生えている。種類にもよるが、ヨーロッパ、東アジア(日本を除く)、アフリカなどに自然分布している。伊豆ではペットとして飼われていたもののが繁殖し、外来種となっている。



海の哺乳類

スナメリ
Neophocaena phocaenoides

階 級:クジラ目 ハクジラ亜目 ネズミイルカ科 スナメリ属
体 長:約165㎝
採集地:茨城県 神栖市 波崎

スナメリには背びれがない。鯨類の中でも小柄で腹まで真っ白。アジアの沿岸地域に生息しているため、日本沿岸にも漂着している。


キタオットセイ
Callorhinus ursinus

階 級:食肉目 鰭脚亜目 アシカ科 キタオットセイ属
体 長:雄 約210㎝ 雌 約150㎝
採集地:茨城県 神栖市 波崎

この個体は幼体なので骨の接続が緩く、雄雌どちらなのか分からない。成体の場合、個体差はあるが上記の体長となる。北太平洋で死亡後、海流に乗って砂浜まで漂着したと考えられる。


オガワコマッコウ
Kogia sima

階 級:鯨目 ハクジラ亜目 コマッコウ科 コマッコウ属
体 長:約225cm
採集地:茨城県 神栖市 波崎

コマッコウに似ているが、体は小さく、背鰭はより高く、背中の中央近くに位置する。世界最小の鯨である。外洋性で、単独ないし数頭の群れを作る。腸内に蓄えたイカ墨のようなものを敵に放出する。


スジイルカ
Stenella coeruleoalba

階 級:クジラ目 ハクジラ亜目 マイルカ科 スジイルカ属
体 長:260cm
採集地:茨城県 神栖市 波崎

体型はほっそりしており、背鰭は大きくて湾曲している。体に黒いストライプが走る。外洋性で、数百頭の群れを作る。神経質な性格であることが多い。



魚類

アオザメ
Isurus oxyrinchus

階 級:ネズミザメ目 ネズミザメ科 アオザメ属
体 長:約400㎝
採集地:千葉県 銚子市 銚子港

体色は青く、歯がノコギリ状なのが特徴。性格は獰猛で、人を襲った事例もある。太平洋、インド洋、大西洋の暖海域に生息。かまぼこの原料となり、焼くと牛肉に似る美味しい魚。  


ホシザメ
Mustelus manazo

階 級:ネズミザメ上目 メジロザメ目 ドチザメ科 ホシザメ属
体 長:約150cm
採集地:茨城県 神栖市 波崎

ドチザメに似ているが、名前の由来の灰色の背には白い斑点があり、腹面は白い。浅海域の砂地や泥底に生息している。特に甲殻類を捕食しているが、魚類なども捕食する。



爬虫類

アオダイショウ
Elaphe climacophora

階 級:爬虫類網 有鱗目 ヘビ亜目 ナミヘビ科 ナメラ属
体 長:約150㎝
採集地:神奈川県 川崎市 生田緑地

日本最大のヘビ。体は緑褐色で黒の4本の縦縞がある。無毒でおとなしいヘビなので人間側から手を出さなければ攻撃されることはほぼない。肋骨がなくなる辺りに総排泄腔があり、そこから先が尾。


アカウミガメ
Caretta caretta

階 級:爬虫網 カメ目 ウミガメ科 アカウミガメ属
体 長:約 85cm
採集地:茨城県 神栖市 波崎

体は赤褐色をしている。日本では屋久島を中心に南西諸島から本州にかけて産卵が確認される。アオウミガメに比べて甲羅がハート型に近い形になっている。


アオウミガメ
Chelonia mydas

階 級:カメ目 ウミガメ科 アオウミガメ属
体 長:約115㎝
採集地:茨城県 神栖市 波崎

赤い甲羅だが海藻を主食としており、それにより体内の色素が青緑色をしていることが名前の由来である。同じウミガメ科で肉食のアカウミガメと比べ、主に草食で比較的温厚な性格である。


ミシシッピアカミミガメ
Trachemys scripta

階 級:カメ目 ヌマガメ科 アカミミガメ属
体 長:約20㎝
採集地:茨城県 神栖市 波崎

北アメリカ南部が原産で、ペット用に主にアメリカから持ち込まれた外来種。多様な水域に生息し、特に池や流れの緩やかな川などを好む。甲は緩やかなドーム状で、頭部の両側に橙赤色の波紋が目立つ。雄はしばしば黒化し、全身が真っ黒になる。この個体は川から海に死骸が流れて砂浜に漂着したと考えられる。


コーンスネーク
Pantherophis guttatus

階 級:有鱗目 ヘビ亜目 ナミヘビ科 Pantherophis属
体 長:約135cm
採集地:ペットショップ

尻尾が長い方が雄、短い方が雌。元はオレンジの地色に黒い縁取り模様が入るヘビだが、黒や赤の色素がない白いコーンスネークもいる。この標本はペットショップで死んでしまったものをもらったものである。



鳥類

ムクドリ
Sturnus cineraceus

階 級:スズメ目 ムクドリ科 ムクドリ属
体 長:約4cm
採集地:東京都 世田谷区 等々力

スズメとハトの間くらいの大きさ。日本では九州以北では留鳥もしくは漂鳥、南西諸島では冬鳥。全身が黒っぽい褐色で顔の部分には境界が不鮮明な白色が入る。雑食性の鳥で、田んぼや畑の害虫を食べるため昔は益鳥として知られていた。


コアホウドリ
Diomedea immutabilis

階 級:ミズナギドリ目 アホウドリ科 アホウドリ属
体 長:約80cm
採集地:茨城県 神栖市 波崎

羽色は翼状面と背および尾は黒褐色。他の部分はほぼ白く、黒い過眼線(かがんせん)から頬にかけて灰色。嘴は橙色で先端のみ黒く、足は淡桃色。繁殖は日本の小笠原でも行われており、繁殖の時期に死んでしまったものが海岸に流れ着くことがある。


クロガモ
Melanitta nigra

階 級:カモ目 カモ亜目 カモ科 クロガモ属
体 長:約49cm
採集地:茨城県 神栖市 波崎

オスは全身が黒色で、上嘴が橙黄色をしている。雌は全身が黒褐色で喉が淡い 褐色をしている。北半球で繁殖した後、冬期になると冬鳥として日本に渡来する。


ハシボソミズナギドリ
Puffinus tenuirostris

階 級:ミズナギドリ目 ミズナギドリ科 ハイイロミズナギドリ属
体 長:約42cm
採集地:茨城県 神栖市 波崎

銀灰色で、他はほぼ全身黒褐色。日本列島の暖流域は、巣立ち雛の北上迂回コースにあたる。これは成鳥の寒流域の最短コースと比べると約一ヶ月も長い旅になるので、5~6月には 力尽きた巣立ち雛が多く海岸に打ち上がっている。         



その他

肺のシリコーン
lung silicone


(左)豚、(中央)ホンドテン、(右上)鳩、
(箱外)ハクビシン

呼吸をする際に哺乳類は横隔膜を、鳥類は気嚢(きのう)を利用する。気嚢は薄い膜でできた袋状の器官で空気をためたり、送り出したりする機能を持つ。哺乳類の呼吸は、呼気と吸気は同じ道を通るため、肺に多少の古い空気が残ってしまう。鳥類の呼吸は、呼気と吸気で異なる道を通るため、常に新鮮な空気が供給される。